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東京地方裁判所 昭和49年(特わ)2093号 判決

被告人

一 本店所在地

東京都荒川区東日暮里五丁目四八番九号

有限会社ホテル三景

(右代表者代表取締役玉岡朋衛こと張元沢)

二 国籍

韓国(済州道涯月面高内里)

住居

東京都荒川区東日暮里六丁目二二番一四号

職業

会社役員

玉岡朋衛こと

張元沢

昭和五年七月一二日生

三 本籍

東京都荒川区西日暮里一丁目三二六番地

住居

東京都荒川区西日暮里五丁目一五番五号

会社役員

高石浩正

昭和二年二月八日生

出席検察官検事

米沢慶治

主文

1  被告会社有限会社ホテル三景を罰金五〇〇万円に、

被告人張元沢、同高石浩正をそれぞれ懲役三月に処する。

2  被告人張元沢、同高石浩正に対し、この裁判確定の日から二年間、それぞれその刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は、東京都荒川区東日暮里五丁目四八番九号に本店を置き、旅館経営等を営業目的とする資本金三、六〇〇万円の有限会社であり、被告人玉岡朋衛こと張元沢は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統轄掌理していたもの、被告人高石浩正は、被告会社の取締役として同会社の宣伝等を担当していたものであるが、被告人両名は共謀のうえ、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を除外して簿外預金を設定するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和四五年一一月一日から同四六年一〇月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三四、一四〇、〇八八円であつたのにかかわらず、昭和四六年一二月二二日東京都荒川区西日暮里六丁目七番二号所在の所轄荒川税務署において、同税務署長に対し、所得金額が零円でこれに対する法人税額も零円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度の正規の法人税額一二、一二六、三〇〇円を免れ(別紙一、三)

第二  昭和四六年一一月一日から同四七年一〇月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得額が二七、九七三、六七二円であつたのにかかわらず、昭和四七年一二月二一日前記荒川税務署において、同税務署長に対し、所得金額が零円でこれに対する法人税額も零円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度の正規の法人税額九、八四六、一〇〇円を免れ(別紙二、三)たものである。

(証拠の標目)

一  被告人張元沢の検察官に対する供述調書

一  被告人高石浩正の検察官に対する供述調書三通

一  福田清の検察官に対する供述調書四通

一  収税官吏石川三夫作成の売上金額調査書(売上)

一  収税官吏飯田博作成の簿外経費調査書(仕入原価、給料、燃料費、消耗品費、衛生費、支払手数料)

一  同じく受取利息調査書(受取利息)

一  同じく仮払金利息計算書(受取利息)

一  繰越欠損金等調査書(繰越欠損金控除額)

一  押収してある次の証拠物(公表分)

1  法人税確定申告書三綴(昭和五〇年押第七七二号の1、2、3)

2  総勘定元帳三綴(前同押号の4、4の1、4の2)

(法令の適用)

被告会社につき

法人税法一五九条、一六四条一項、刑法四五条前段、四八条二項。

被告人両名につき

刑法六〇条、法人税法一五九条(いずれも懲役刑選択)、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(第一の罪の刑に加重)、二五条一項。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 中村勲)

別紙 一

修正損益計算書

有限会社 ホテル三景

自 昭和45年11月1日

至 昭和46年10月31日

〈省略〉

〈省略〉

別紙 二

修正損益計算書

有限会社 ホテル三景

自 昭和46年11月1日

至 昭和47年10月31日

〈省略〉

〈省略〉

別紙 三

〈省略〉

〈省略〉

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